過程を大切にすること
例えば、思いがけず響きのある良い音が出たとき。
なんだか調子が良いと感じてその時、またはその日は良い音と共に過ごせたとします。
次の日、また同じ音を出せるかなと思って吹くと、そうでもない。
昨日はできたけど今日はなかなかできない…という出来事は、音色に限らず、よくある事だと思います。
そんなとき、大切なのは結果と過程を分けて考えてみること。
例えば、
響きのある良い音=結果
その音を出すまでに考えたこと=過程
です。
そして、もう一つ重要なのは、
感覚があまり当てにならないこと。
その音が「響きのある良い音」と感じているのは、あくまで昨日のその時のその場所の自分。
昨日はすごく心に余裕があったかもしれないし、逆に調子が悪いと思って吹いたら意外とマシ(?)だったのかもしれないし、
昨日と今日では部屋が違ったかもしれない。
部屋やスタジオは防音加工で、わざと響かないようにされている所もあります。
また、カラオケで練習したとしたら、恐らくすごく響くかもしれない。
部屋ごとに響きが違って聴こえるのは当たり前で、ましてや広いホールなら尚更。
分かっているはずなのに、
私たちはどこか頭の隅っこで
同じ響きや音の聴こえ方を求めているかもしれません。
練習ではうまくいったけど、
レッスンではうまくいかないとか、本番で力んでしまう、
という原因の1つかもしれません。
そこで頼りになるのは、
自分の身体の使い方に思考を巡らせること。
これも感覚ではなく、過程である「身体の使い方を考えること」が大切です。
簡単に言ってしまうと
うまくいったときに得た感覚=結果
身体の使い方を考えること=過程
です。
これは実際にレッスンを受けてみないと分かりにくいことですが…
「いつもより力まずに演奏できた」というときに、
「よし、次も力まずに演奏しよう」と
その時の感覚を再現しようとすると、なかなか上手くいきません。
「力まずに演奏できた」感覚は何によって得られたのか、
そのとき「考えたこと」、つまり過程が大切。
同じことを考えたからといって、素直に理想の音が出るとは限らないけれど、
感覚で再現するよりは少し建設的です。
そこを紐解いていくのがアレクサンダーテクニークかなと思います。
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